クラフトビールとは?定義は?
ビール愛好家でなくても聞いたことがあるビールの種類、それがクラフトビールなのではないでしょうか。
「Craft」の本来の意味は、技術、技巧、手工業など。
クラフトビール(Craft Beer) は大規模工場で量産化せずに、職人さんが手仕事で作ったビールと言い換えることができます。
クラフトビールとは?明確な定義3つ
実は、日本におけるクラフトビールに明確な定義はありません。
アメリカのBrewers Association(ブルワーズ アソシエーション)がまとめているクラフトビールの定義を参考にすると、
■生産体制が小規模
■独立した生産体制
■伝統がある
ということになっています。
日本に置き換えてみると、必ずしもこの3つの定義がクラフトビールにあてはまっているとは言えません。
なぜなら地ビールからスタートした日本のクラフトビールの歴史はまだ始まったばかりだから。
クラフトビール定義1.「ビールの生産体制が小規模」
現在、日本の酒税法では年間の最低製造数量が60キロリットルであれば地ビール製造免許を取得できることになっています。
免許取得にあたっては他にクリアしなければいけない項目もありますが、生産量は最低60キロリットルで良いということです。
少ない生産量でもビール製造免許が下りるということで、観光客向け、地産地消、地元の特産として地ビール作りが盛んになったのが地ビールブームの始まりでした。
クラフトビール定義2.「独立したビールの生産体制」
日本の大手4大ビールメーカー(アサヒ、キリン、サントリー、サッポロ)のビールは常に安定した風味と量が市場に供給されています。ある意味、「安定した生産量」は大手ビールメーカーの務めでもあります。
一方、クラフトビールは種類も供給量もそれほど多くはありません。
地元限定、季節限定の商品も多く、逆に希少性が魅力となっていることも。
大手メーカーほどの大量生産はできませんが、その分自社工房のこだわりで個性的なビールを追求しつづけています。
クラフトビール定義3.「伝統がある」
ブルワーズ アソシエーションの定義と日本のクラフトビールのもっとも大きな違いはここにあります。
日本で本格的にビールが普及しだしたのは明治時代で、日本人の口に合わせたビールが生まれたのは明治14年。
ビールにまつわる最古の資料は紀元前4000年紀のメソポタミア文化のもの。この頃から褐色ビール、黒ビールなどの種類があり、人間が楽しむ以外にも神様への捧げ物としても用いられてきました。
現在の最低製造数量は60キロリットルですが、酒税法改正前は2000キロリットルと定められていました。
地ビール文化誕生の裏には1994年の酒税法緩和が大きく影響しているのは確か。
つまり、日本のクラフトビール発展は21年前に始まったばかりなのです。
たった21年の歴史ですが、地ビールブームは一度沈静化しています。
その原因は
・クラフトビールは価格が割高
・日本人の口にあわなかった
・品質保持が難しかった
・アルコールのシェアが発泡酒に移行した
・醸造技術が低かった
など。
観光地などで期待しつつ地ビールを飲んでみたものの、「うーん、イマイチ・・・」と思った経験はありませんか?
村おこし感覚のビール作りが、地ビールを一過性のブームとさせてしまったのです。
世界的に根付いてきたクラフトビール
地ビールブームが沈静化した2003年。当初300社以上もあった地ビールメーカーが、この頃には200社程度まで減っていました。
今現在、地ビールブームを乗り越えてクラフトビールメーカーと呼ばれるようになった醸造所は、この危機を乗り越えてきたメーカーでもあります。
クラフトビールは日本だけでなく、世界中で愛されています。
ドイツやアメリカなどでは、クラフトビールの本来の意味である伝統的なメーカーも多数存在しますので、地域ごとの地元密着型クラフトビールを楽しむこともできます。
今もっともアツいクラフトビール大国はアメリカ!
アメリカのビールというと、軽くて何杯でも飲めそうなイメージですがそれだけではありません!
国土が広いアメリカなので、それぞれの地域や気候を生かしたクラフトビール作りが盛んに行われているのです。
アメリカでは規模の小さいビール工房のことをクラフトビールと区別してMicro Brewery(マイクロ ブルワリー)と呼んでいます。
レストランに併設されているマイクロブルワリーのビールや地元のビールが「あのレストランのビール、おいしいよね!」という口コミで広まって、クラフトビール、マイクロブルワリー文化となったのがアメリカにおけるクラフトビール発展のきっかけです。
小規模の醸造所自体は以前からあったにも関わらず、価値が見直されたということ。
この点において、ブルワーズ アソシエーションがクラフトビールの定義に「歴史」を重要視していることに納得です。
日本のクラフトビールメーカー
もちろんドイツやベルギーのクラフトビールも素晴らしいのですが、まずはわたしたちの国、日本が誇るクラフトビールを楽しんでみましょう。
早速飲んでみたい日本のクラフトビールを北からご紹介します。
網走ビール(北海道)
クラフトビール好きなら飲んでみたいのが「網走プレミアムビール」
100%網走産の麦芽を自家焙煎して作られた網走プレミアムビールは、自家焙煎のモルトが使用されていて甘さと苦さのバランスが良好のピルスナー。
青い発泡酒の網走ビール「流氷ドラフト」と「流氷仕込み」には本当に仕込みに流氷が使われていて、色はなんとオホーツクブルー!
同じく発泡酒の「はまなすDRAFT」はルビーレッド色。
色や見た目は珍しいですが、製法はドイツで伝統のある三釜方式。
■網走ビール公式サイト
http://www.takahasi.co.jp/beer/
銀河高原ビール(岩手)
銀河高原ビールの代表格は、夜空を走るトナカイのラベルと深いブルーのボトルが印象的な「小麦のビール」。
酵母がろ過されていないので、あたたかみのある濁りを楽しめます。
麦の味わいとほんのりとした酸味は、これまでの日本の定番ビールと全く違う本格的なヘーフェヴァイツェン。
本格的でありながら個性的で、日本のクラフトビールを代表するメーカーです。
■銀河高原ビール公式サイト
http://www.gingakogenbeer.com/
コエドビール(埼玉)
ドイツのビア職人に学んだビール作りを誠実に続けながらも、デザイン性のあるパッケージでビールの位置づけを大きく変えたクラフトビール。
海外での評価も高く、小江戸から「日本のビール」を発信し続けています。
「COEDO紅赤-Beniaka-」は無ろ過のインペリアル・スイートポテト・アンバースタイル。川越産の焼いた金時芋が使われていて、こうばしい甘さがあります。
■コエドビール公式サイト
http://www.coedobrewery.com/
箕面ビール(大阪)
女性醸造家が作る季節限定の「ゆずホ和イト」は2012年ワールドビアカップ Fruit Wheat Beer部門で金賞を受賞しました。
控えめな泡と主張しすぎないユズの香りは女性がおいしいと感じるまろやかなフルーツエール。無ろ過、非加処理の手間がかかった繊細なビールを味わいたいときに。
■箕面ビール公式サイト
http://www.minoh-beer.jp/
クラフトビールはどこで飲める?
都内では、クラフトビール専門のバーが増えつつありますが、いちばん簡単に飲む方法は気になるメーカーからのネット通販です。
一部製品はAmazonなどでも販売しています。
有名クラフトビールはデパートやコンビニでも購入可能なので、まずは身近なクラフトビールから試してみてはいかがでしょうか。
クラフトビールを家飲みする場合は、適温に冷やしてグラスに注いで最高の状態でいただきましょう!