ベックス(Beck’s)のレビュー

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ベックス(Beck’s)のレビュー
世界で一番飲まれているドイツビール。ドライな苦みでぐいぐい飲める、ブレーメンのベックスをご紹介します。

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ベックス(Beck’s)の基本情報

銘柄(商品名):ベックス
醸造所名:アンハイザー・ブッシュ・インベブ株式会社(Anheuser-Busch InBev Deutschland GmbH)
原産国:ドイツ
アルコール度数:4.9%
原材料:水、大麦麦芽、ホップ抽出物
ビールスタイル:ジャーマンピルスナー
内容量:500ml
カロリー:記載なし
参考価格:1.07ユーロ(日本円で130円程度)


ベックスの味や風味

<外観>
ベックスの外観

蜂蜜を溶かしたような、少し濃い小麦色です。かなり冷やしたのですが、あまり泡は立ちません。ドイツビールにしては炭酸が強く、グラスの底から細かな気泡が立ち上ります。

<飲む前の香り>
かなり苦味を感じさせるハーブ香がします。肉料理に使うセイジやタイムのような香りです。

<飲んだ時の香り>
口に含んだときの香りは淡いのですが、飲み下した後に舌に残る小麦の香りが素晴らしい! シャープなのに、いつまでも口に広がる香りが後を引きます。

<ベックスの味>
ベックスの特徴はなんといっても爽快感でしょう。舌を刺す炭酸と強めのハーブ香、苦味が喉を滑り落ちていくと日頃の憂さも晴れます。ドイツビールは喉越しよりも芳香や味わいを重視しているものが多いのですが、ベックスはなによりも喉越しがいい。ベックスはドイツビールの中で輸出量がナンバーワン。温暖化が進む世界中で人々の喉を潤しているのではないでしょうか。

炭酸は強めで、女性的というよりは男性的。すっきりとして雑味がなく、独特のスパイシーな苦みが楽しめます。アルコール度数は4.9パーセントで標準。仕事帰りの一杯に飲みたくなるビールです。

<ベックスの飲みやすさ>
独特の苦みと炭酸で、そういったビールが苦手な人には飲みにくいかもしれません。しかし、日本で言うとドライビールのような味わいで、好きな人にはたまらないでしょう。なによりもキレのある味と喉越しを味わいたいので、飲む前に冷蔵庫でキンキンに冷やしておく方が爽快感が味わえます。

<ベックスに合いそうな料理>
文句なく肉料理に合います。逆にお刺身や煮魚などには合わないでしょう。グレイビーソースのステーキやスペアリブなどのがっつり系のお肉と合わせれば、匂いや脂を洗い流してさっぱりさせてくれること請け合いです。

<総合評価>
★★★★☆(星4つ)


ベックスのレビュー

これまでご紹介したドイツ中西部のビットブルガーヴァルシュタイナーとは異なり、ベックスは北ドイツ、ブレーメンのビールです。ドイツのピルスナーは製造されている地域と歴史によって4つに分類されます。

まず一つめはクラッシック。チェコ・ピルゼンで生まれた「ピルスナー・ウルケル」の流れを汲むピルスナーで、ドイツだと北東部で多く製造されています。チェコと隣接しているので流行を取り入れやすかったのかもしれませんね。淡い黄金色と真っ白な泡、あっさりとした飲み口が特長です。

二つめはドイツ中西部のザウアーレンダーピルスナー。ノルドラインヴェストファーレン州の南方に位置するザウアーラント地方に由来しています。平地が多いドイツの国土の中でザウアーラント地方にはたくさんの山があり、高度の低い良質の水が湧出します。これを利用して作ったのがヴァルシュタイナーやビットブルガーです。輝くような黄金色と華やかなホップの香りが特長。

三つめはドイツ南部のピルスナー。しかしドイツ南部ではピルスナーとは呼ばず、「ヘレス」と呼びます。「ヘレス」は「明るい」とか「輝く」というような意味。小麦を使ったヴァイツェンビールの一種類に「ヘレス」があることもあります。ドイツ南部はビール醸造の長い歴史があり、チェコ・ピルゼンの新しい製造方法を単純に取り入れることを良しとせず、「ヘレスは南ドイツのビールだ」という気持ちが強いようです。

ミュンヘンレストランでは「ピルスナーください」というと「置いてない」と言われることがあります。皆さんもミュンヘンレストランでビールを頼むときは「ヘレス」で注文してください。ドイツ南部のピルスナーは他のピルスナーに比べてしっかりとした小麦の香りが特長。泡はあまり立ちません。

そして四つめがベックスの故郷ブレーメンを含むハンザ地方のハンゼアティシュピルスナーです。「ハンゼアティシュ」は「ハンザ風の」とか「ハンザ地方の」というような意味のドイツ語。北ドイツにあったハンザ同盟で製造・流通していたビールのことを言います。ハンザ同盟はバルト海に面し、船を使った商業貿易がさかんで、重い荷物を運ぶ荷役人など労働者がたくさん住んでいました。彼らは現代の私たちと同じように仕事の終りにビールを飲むわけですが、体を動かした後に安くで簡単に酔える、アルコール度数が強いビール人気だったそうです。

その後、チェコ・ピルゼンでピルスナーが開発され、やはりハンザ地方でもピルスナーの製法を取り入れ、ハンザ地方特有のハンゼアティシュピルスナーを作ったと言われています。ハンゼアティシュピルスナーはかつての労働者たちの喉を潤すような強い喉越しと、キレのある味が特長です。

「ベックスの飲みやすさ」でも書きましたが、ベックスはキレと喉越しが素晴らしい分、炭酸が強めで苦手な人にはちょっと飲みづらいだろうなぁと思います。なので、今回は星1つ減らして星4つで評価しました。好きな人はハマりそうです。


ベックスを販売するアンハイザー・ブッシュ・インベブ株式会社について

ベックスはフランツ・グスタフ・トーマス・メイとリューダー・ルーテンベルク、そして醸造家のハインリッヒ・ベックが設立したKaiser brewery(カイザール・ブラウライ)が元になっています。創業1873年、販売開始は1874年。チェコでピルスナーが開発された後の創業で、当初から一貫してピルスナーを製造していたようです。

販売開始からわずか2年後、1876年にはフィラデルフィアで開催された世界博覧会で「全大陸で最も優れたビール」として見事ゴールドメダルを獲得。バルト海に面し、輸出の便がいいことから様々な国へ輸出されるようになりました。

ベックスを販売するアンハイザー・ブッシュ・インベブ

現在のラベルにも販売開始の1874年とともに、フィラデルフィアでゴールドメダルを獲得した1876年の年号が刻まれています。

ベックスのラベル

また、緑色のボトルと鍵のトレードマークも現在まで変わらずに使われているのだそうです。面白いですね。

しかし会社は「現在まで変わらずに」というわけにはいきませんでした。共同経営で始まったベックスには「創業家」というものがなく、経営者の離脱や死去により社名を変更したり分裂したりを繰り返します。戦争による操業停止を乗り越え、再び世界のビールとして名を馳せましたが、2002年にベルギーのインターブリュー(Interbrew)によって買収。さらにインターブリューは他会社を買収・合併、2008年にはバドワイザーで有名なアメリカのアンハイザー・ブッシュを買収し、アンハイザー・ブッシュ・インベブという世界有数のビール会社になりました。

現在、アメリカ本土で販売されているベックスはアメリカで作られているそうで、こういった状況を揶揄して「もうこんなのアメリカのビールだろう!」と言う人もいるようです。

しかしいまでも製法はドイツビール純粋令に基づき、大麦と水とホップで作られていますのでご安心を。少なくともドイツで販売されているベックスはドイツの原材料で作られています。

ベックスは90か国近くで販売され、世界で最も飲まれているドイツビールです。しかし拡大の裏側にはいろいろな物語があったのだなぁと思うと感慨深いものがあります。他のドイツビールは創業当時の土地で作り続けていることが多いので、より一層興味深いですね。

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ちなみに、裏面のラベルに公式サイトとして挙げられていたのは2つのURL。全世界版では住んでいる国や年齢、言語を選ぶとアンハイザー・ブッシュ・インベブが取り扱っているビールのうち、その国で購入できるビールが表示されるようです。グローバル!

kamatsu

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