世界のビールの種類(ビアスタイル)
どんなビールが好きですか?と聞かれたら
「やっぱりスーパードライ!」
「1度プレミアムモルツを飲んだら他のビールは物足りない!」
「本当においしいビールはサッポロ黒ラベルでしょ!」
「昔からキリンラガー以外は飲みません!」
と、わたしたちが大好きな国産ビールの銘柄がどんどん出てくると思うのですが、
ご存知でした?
これらのビールは全て同じ種類に分類されるんです。
つまり、
日本人が普段飲んでいるビールは、100種類以上もあるうちのたったのほぼ1種類だけなんです。
これは大変もったいない!
ビールの種類=スタイルを知ると、飲んでみなくても風味や傾向がある程度わかるようになります。
あなたのビアライフがもっともっと豊かになるビール・スタイルをサラッとお勉強しませんか?
ビールを傾けながら読んでみてくださいね!
最初に抑えておきたい3つのビアスタイル(種類)
ビールの種類を表す言葉、それがスタイルです。
日本ではタイプと言われることもありますが、ビアバーなどで使われる共通語はスタイルなのでここはしっかり覚えておきましょう。
最初に知っておきたいスタイル(種類)は「エール」「ラガー」「自然発酵」の3つ。
発酵方法による分類です。
エール
上面発酵で醸造されたビールはまずエールに分類されて、ここからさらに細分化されます。
20℃前後の常温で3日程度発酵を行います。エールに使用する酵母は発酵したら上に浮くため上面発酵と呼ばれます。
高温で発酵するため香りが良いビールとなり、コクが深くフルーツのような味わいになります。
20℃くらいの常温で飲んでもおいしく、風味はもちろんですが香りも一緒に楽しみたいビールです。
日本の大手メーカーの主力製品はほとんどエールではありませんが、クラフトビール工房ではこだわりのエールを製造しているところも多いです。
ラガー
下面発酵で醸造されるビールです。すっきりとした切れ味で喉越しが良いのが特徴です。
約5℃~10℃の低温で熟成され、1週間ほど時間をかけて発酵を行います。
発酵が終わる頃に酵母がタンクの下に沈むことから下面発酵と呼ばれます。
ラガーは19世紀以降に爆発的に世界中に普及しました。日本で販売されているビールも9割が下面発酵のラガーです。
自然発酵ビール
現在のビール作りで使われる酵母は人の手で培養されたビール用の酵母がほとんどですが、自然発酵ビールの酵母は空気中にもともとある野生酵母や樽に存在する酵母。
独自の酸味や香りを楽しむことができます。
この他にもハイブリッドなどのスタイルがありますが、まずはこのエール、ラガー、自然発酵の3つの種類を覚えておけば大丈夫!
ビールのスタイル(種類)はさらに細分化される
最初にお話したビール4大メーカーの主力製品はまず下面発酵のラガーに分類されます。
そこからさらにピルスナーに分類されます。
ピルスナーという言葉は、アルコール4~5%程度のゴールデンラガー全般を指している場合(バドワイザーやハイネケンや苦みの弱いライトなアジア ンビー ルなど)と、より狭い意味のピルスナースタイルを指す場合があります。
ピルスナースタイルという場合は、しっかりホップの香りや苦みのきいたものだけを指すイメージです。
一番搾り、プレモルなど。
さらに細かくチェコ産はよりモルティなボヘミアンピルスナー、よりクリアな味 わいのドイツ産ジャーマンピルスナー(ドイツや日本のビール)分かれます。
わたしたちがよく知っているピルスナーと比較しやすいのがドルトムンダーのエビスビール。
エビスはピルスナーと同じく下面発酵ですがドルトムンダーに分類されます。
発酵度合いがピルスナーよりも強く、風味はやや強く辛口。
味は濃く感じますが苦味と香りは少し優しいという特徴があります。
国別に見るビアスタイル
ビアスタイルを把握するときに一緒に覚えたいのが発祥国。
ビールの歴史が古いドイツ、ベルギーが発祥の主なスタイルをご紹介します。
ドイツのエール(上面発酵)
まずはエールのドイツ発祥スタイル。
ケルシュ
ケルンで作られる淡色ビール。上面発酵ですが下面発酵に近い温度で発酵させます。フルーツのような香りで苦味も少なくゴクゴク飲めるタイプのビールです。
ヴァイツェン
ヴァイツェンは小麦の意味で、日本の主要ビールのようにクリアな黄金色ではなく白濁しています。
小麦のような香りと若干の酸味があります。
苦味が少ないことからビールが苦手な女性でも飲みやすいスタイルです。
ドイツのラガー(下面発酵)
続きまして、ドイツのラガーです。
ヘレス
日本でも手に入れやすいドイツ発祥のヘレスはレーベンブロイ。
ヘレスはドイツ語で淡いという意味で、色が明るい黄金色のビールのことを言います。
ホップの香りや苦みは控えめです。
オクトーバーフェストビア
日本でも有名になってきたドイツのビール祭りオクトーバーフェストで飲まれます。
3月に仕込むことからメルツェンとも呼ばれています。
数ヶ月間おいしく味わうことができるようにアルコール度数は強め。
ベルギーのビアスタイル
ベルギーには世界的に有名な自然発酵スタイルビール、修道院内の醸造所で作られるトラピストビールなど独自のビール文化があります。
ベルジャンスタイル・ホワイトエール(上面発酵)
ベルジャンホワイトとも呼ばれるベルギーの伝統的なエールビール。
麦芽化していない小麦を使用して、オレンジピール、コリアンダーで香りづけされているものもあります。
トラピスト(上面発酵)
世界中の限られた修道院でしかトラピストの名称を使うことが許されていない特殊なスタイルでしたが、現在トラピストビールは増えてきています。
日本でも手軽に入手できるトラピストはスクールモン修道院で作られるシメイ。
ランビック(自然発酵)
自然発酵で作られるビアスタイルの総称です。
麦芽化していない小麦を使い、酸味と独自の香りがあります。
現在販売されているビールの中では、いちばん古典的な製法です。
同じスタイルでもビールの風味や香りは全く違う!
日本でもっとも愛されているビールの種類(スタイル)はピルスナーですが、ビール4大メーカーの主要銘柄を飲み比べてみてもまったく味わいが違うように、同じビールの種類でも味わい、香り、色などはまったく違う個性があります。
サラッとして飲みやすいオリオンビールもハートランドも実はピルスナーに分類されます。
今回ご紹介したビールのスタイル(種類)は世界中のビールのごくごく一部で、スタイル名がついていないスタイルもあるくらい奥深いのがビールの魅力。
ぜひお近くのビアバーなどで飲んだことがないスタイルを試してみてくださいね!