ブリュードッグ ブルワリー「パンクIPA」レビュー
ビールらしくないネーミングと炭酸ジュースのようなパンチの効いたラベルデザインのパンクIPA。
スコットランドからやってきた一筋縄じゃいかないパンクIPAは、わたしたちが持っている「とりあえずビール」の概念を大きく変えてくれたビールです。
パンクIPAの基本情報
醸造所名::^ブリュードッグブルワリー
原産国::英国
アルコール度数:5.6%
原材料:麦芽、ホップ、酵母
ビールスタイル:イングリッシュスタイル・IPA
内容量:330ml
参考価格:386円
パンクIPAを飲んでみた感想
<外観>
明るいゴールド。クリアですがほんの少しだけにごりがあります。泡はかなり細かくクリーミー。かすかに黄色がかっています。
<飲む前の香り>
ボトルを開けたとたんに広がってくる爽やかなシトラスがかなり印象的。
グレープフルーツ果汁のような香りの中に皮や種のような苦味も感じられます。
<飲んだ時の香り>
フルーティですが、八朔のような渋さ、ほろ苦さが鼻から抜けていきます。
<パンクIPAの味>
IPAらしくしっかりした苦味がありますが、後を引きません。
<飲みやすさ>
アルコール度数5.6%と若干高めですが、喉が温かいと感じるほどではありません。
シトラスの香りと舌で感じる苦味のバランスがクセになりそう。ラガービール党の方でも親しみやすいはずです。
炭酸はそこまで強くないので、飲むたびにゲフーということはありません。女性にも安心!
飲み口は軽くはないですが重すぎることもないのでゴクゴク飲むこともできますが、食事やおしゃべりと一緒に味わうにも最適。
<パンクIPAに合いそうな料理>
スコットランドのビールなので、フィッシュ&チップスはテッパンです。
日本のピルスナーのように油脂をサラッと流してくれるキレのある感じではありませんが、ガツンとした料理もビールもどちらも一緒に味わうような飲み方ができます。
フライドポテト、鶏のから揚げなどの揚げ物にも合いますが、パンクIPAはサラダからメインまで幅広く対応するビールです。
★★★★★(星5つ)
パンクIPAレビュー
パンクIPAを醸造するブリュードッグブルワリーが生まれたのは2007年4月。
たったの8年間で日本にもオフィシャルバーを展開するほどの実力で、ブリュードッグブルワリーはいまや世界から期待されるクラフトブルワリーになっています。
パンクIPAを飲んでみます
グレープフルーツの種や白いワタのところのような柑橘系のビター感が大人味!
香りはグレープフルーツ8:苦味2くらいなので、香りの中にはそれほど苦さを感じないのですが、ホップの苦さの中にあるシトラスの余韻は最後まで残ります。
口に含んで喉に流すまではホップ特有の苦味も感じるのですが、後を引くような苦味ではなくスーっと消えていきます。
しばらく置いて少し温度が上がった状態で飲んでみると、パンクIPAらしいほろ苦さがさらに増して飲み口が変わります。
注ぎたてだとホップ感が全面的にあるのですが、少し置くとモルトの香りとこうばしさもよくわかります。
泡からは液体部分よりも苦味を感じるので、なるべく液体部分を飲むようにするとパンクIPA本来の風味が分かりやすいです。
飲み干したグラスからもグレープフルーツが香ってくるくらい爽やかで、何度も香りを嗅ぎたくなります。
パンクIPAを1缶飲んだとたん虜になったという愛飲者さんは本当に多いのですが、その理由がわかる気がします。
ビール業界の風潮や売れ筋などを良い意味で全く無視して、丁寧に作りこまれた自信作という感じです。
パンクIPAには日本の4大ビールには無いホップの香りがある
パンクIPAは日本の大手ビールメーカーが得意なキレ重視の喉ごしが軽いビールとは一線を画するビールで、柑橘系のビールを思わせる香りと柑橘類の種や皮の渋みを思わせるような余韻があるビール。
これだけで、わたしたちがよく知っているアサヒスーパードライとはまったく違うスタイルということが想像できるのではないでしょうか?
初めてパンクIPAを開封したとき、グレープフルーツのような香りがブワーっと漂ってきて、「こんなに早く飲みたいと思わせる香りのビールに出会ったのは初めてじゃないか?」と自分でも驚いたのを覚えています。
パンクIPAはもともとイギリスからインドにビールを運ぶために生まれたスタイルで、雑菌が繁殖しないようにアルコール度数が高いこと、殺菌作用を高めるためにホップをたくさん使ってあるのが特徴です。
冷蔵技術と輸送技術が発達した今のIPAは当時ほどガツンとくる感じではありませんが、それでも若干アルコール度数が高いことから、一気にグビグビ飲むよりも味わって飲みたくなります。
ホップの使用量が贅沢すぎる「パンクIPA」
パンクIPAの特徴としてもっとも知られているのは使用しているホップの量が一般的なIPAの約40倍ということ。
ホップの香りってどんな香り?という方でも、パンクIPAの香りを嗅いだらイッパツで「あー!この爽やかなのがホップなのか!」とわかるはずです。
なぜそこまでホップの香りが特徴的なのかというと、「ドライホッピング」という香り付けのためにホップを追加する作業を行っているから。
一般的なビール醸造だとホップは2回に分けて投入します。1回目は苦味をつける目的で(ビタリングホッピング)、次は香りをつけるため(アロマホップ)です。
パンクIPAはこの2回のホップ投入のあと、さらにホップが追加されているんです。
最後のホップ投入の目的は、ホップが持つフレッシュな香りをビールに移すこと。まさに香りのための追加なんです。
通常、輸送や保存の関係上、ホップはペレットと呼ばれる状態になっていて、醸造でもペレットを使用するのですが、ドライホッピングで使われるホップは植物のままのホップです。
(よくビールのラベルにある毬花状のアレ!)
加熱が終わってから更にホップを加えることでホップ本来の香りがビールに残ると言われています。
こんな手間隙かかることをやっているブリュードッグに尊敬を込めてついたあだ名は「ホップの魔術師」だそうです!
パンクIPAの味わい、全体的な印象
いろんな意味で話題性が高く、日本にも鳴り物入りで上陸したパンクIPAですが、決して流行りで終わるものではないように思います。
最初のひとくちはビターグレープフルーツですが、余韻にはIPAらしいしっかりとした苦味が残るように計算され尽したビールで、多少置いて温度が上がっても最後までおいしくいただけます。
ビールが苦手な方の多くは苦味が苦手だと思うのですが、パンクIPAの苦味はホップ本来の植物性のものなので、ただ苦いだけではなく複雑な甘さやコクも感じます。
もし機会があったら一口飲んでみていただきたいです。ビールの印象が変わりますよ!
パンクIPAに感じた超個人的な感想
陳腐な例えですが、パンクIPAは邦楽しか知らなかった中学時代に初めて洋楽に触れて感じたあのカッコ良さを思い出させてくれるようなビールです。
そういう意味ではパンクIPAというネーミングも絶妙!
まさにパンクやロックとの相性も絶対に良いので、夏フェスなどの音楽の祭典でパンクIPAをいただける機会が増えることを心から願います!
そういうシーンにもかなりハマるはず!
東京 六本木に「ブリュードッグ六本木」というブリュードッグオフィシャルビアバーがあります。
自宅で1人で飲むパンクIPAでも余裕で虜になれますが、1度は樽生で味わってみたいもの。
「オレたちのビール、ウマいだろ?当然だよ!」的なブリュワーたちの得意げな顔がグラスの向こうに見えるようなパンクIPAは、初めてのIPAにもピッタリです。
今後も、間違いなくクラフトビールを語るときに欠かせない銘柄のビールとなるはずです。