ベルギービールは発泡酒?ビールの定義と発泡酒・新ジャンルの違い

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ビールの定義と発泡酒・新ジャンルの違い
最近、コンビニのお酒の棚に発泡酒が増えたと思いませんか?気がつけばリキュール(発泡性)というナゾの分類までできています。

味はまぁまぁだけどビールよりも安いからなんとなく飲んじゃう・・・という感じが定位置となった発泡酒ですが、一体何者なのでしょうか。

そういえば第3のビールってどこに行った?
新ジャンルってどんなジャンル??
いやいや、リキュールって、もはやビールでもないじゃん!

知っているようでまったくわからない、ビールっぽいけどビールじゃないお酒の違いをまとめてみます。

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ビールにはしっかりと定義がある

ビールやお酒についての定義は国によって異なりますので、本記事は日本国内のお話になります。

ビールの定義はとても簡単でわかりやすいです。

■ビールの定義
麦、ホップ、酵母、水を主原料とした醸造酒
(※ジャパンビアソムリエ協会の定義)

これがビールの定義で、これ以外はビールじゃないということになります。
そういう意味ではビールは1種類しかないとも言えますね。
発泡酒やリキュール(発泡性)などの分類は「酒税法」によって細分化されたものになります。


酒税法による分類

ビール、発泡酒、その他の醸造酒(発泡性)、リキュール(発泡性)は、酒税法によって分かれているもので、製品がどこに分類されるかによって税金が変わってきます。

そのため、税金が安い第三のビールとして販売されていた製品が第三のビールには該当しないと国税庁から指摘を受けて、発泡酒として再販したという出来事もあります。

なお、ゼロビール・オフビール、ノンアルコールビールなどの区分は酒税法とは無関係ですが、ひとつのジャンルとして確立されているので、本記事でもご紹介しています。


ビール

酒税法によると、麦芽重量の半分を、それ以外の原料が超えないこと。麦芽比率が全体の2/3以上ということになっています。

使っても良い原料は、麦芽、ホップ、水、麦、米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でんぷん、糖類、カラメルです。

■350mlの酒税:約77円
なんでも酒やカクヤスさんの販売価格を参考にすると350mlのお値段は186円(税込み201円)ですから販売価格の半分近くが税金ということに。
そう考えると、いくら嗜好品とはいえビールの税金はやっぱり高いですね!

■ビールの参考商品
サッポロ黒ラベル、アサヒスーパードライ、サントリープレミアムモルツ、キリンラガービール


発泡酒

麦芽比率が2/3未満、もしくはビールに認められていない原料が使用されている。(スパイス、フルーツ、ハーブなど)
麦芽量に定義はありませんが、麦芽の使用率によって税金が変わります。

■350mlあたりの酒税
 麦芽比率50%以上:ビールと同じ
 麦芽比率25%以上:62円
 麦芽比率25%未満:47円

■発泡酒の参考商品
キリン淡麗グリーンラベル、サントリーおいしいZERO、アサヒ本生アクアブルー


その他の醸造酒(発泡性)①

麦芽を使用しないで穀類などを原料に作られた発泡性飲料。
「その他の醸造酒(発泡性)①」と表記されているものがコレにあたります。

以前は「第3のビール」と呼ばれていました。これはビール、発泡酒に続く3つめのビール(的飲料)という意味でマスコミや広告業界が造語として使っていた言葉で、酒税法による分類ではありません。

■350mlあたりの酒税:約28円

■その他の醸造酒(発泡性)①の参考商品
キリン のどごし<生>、サッポロ ドラフトワン、サントリー キレ味<生>


リキュール(発泡性)①

麦芽を使った発泡酒と麦スピリッツなどが原料になります。麦芽使用率は50%未満。
ビールではないため「ビールの表示に関する公正競争規約」の対象ではありません。

■350mlあたりの酒税:約28円

■リキュール(発泡性)①の参考商品
サッポロ 麦とホップ、サントリー 金麦、クリアアサヒ、オリオンリッチ


ゼロ、オフビール

糖質オフ、糖質ゼロ、カロリーゼロ、プリン体ゼロなどのオフビール・ゼロビールは酒税法による分類ではありませんが、すでにひとつのジャンルになっていると言えます。

参考商品としてはアサヒ アクアゼロ、アサヒ スタイルフリー、サッポロ 極ZERO など。

糖質やプリン体を気にする方に人気が高いですが、それ以外の原料の安全性はどうなの?と危険視する声はゼロではありません。

その他の醸造酒(発泡性)①とリキュール(発泡性)①の総称が「新ジャンル」になります。

酒税法とは無関係の分類ですが、一般消費者がビールとの誤解を避けるためにビール業界が自主的に使っています。

新ジャンルと言われたら「ビール風味の発泡するアルコール飲料」のコトと思っておけば間違いありません。


ノンアルコールビール

ビールテイスト飲料、ビアテイスト飲料とも言われることがあります。
アルコール1%未満のソフトドリンクのことを言いますが、ノンアルコールビールにおいて明確な定義はまだできていません。

日本においては、立場上お酒を飲めないドライバーさんなどが愛飲することが多いため、アルコール0.00%のノンアルコールビールが主流になっています。

アルコール0.00%の場合、ビールではないので酒税法そのものが適用になりません。酒税がかからないのでノンアルコールビールの価格はジュース並みに安いこともあります。

ノンアルコールビールには主にふたつの種類があります。

■ビール醸造後にアルコールを除去したタイプ
ほんのちょっとだけアルコールを含むことと、元がビールなのでよりビールに近いのが特徴です。

・参考商品
クラウスターラー(ドイツ)、テキサスセレクト(アメリカ)

■アルコール発酵原料を一切使用しないタイプ
アルコール未含有なので運転手さんや妊婦さんに安心です。ただし、よりビールに近いようにおいしく作るのがとても難しいので風味の面で納得できる製品に出会えるかがポイント。

・参考商品
サントリー オールフリー、キリン キリンフリー

■覚えておこう!ホッピーのヒミツ
ホッピーと聞いて懐かしいと思う方にも最近の流行りと思う方にも覚えておいていただきたいのが、ホッピーそのものには0.8%のアルコールが含まれているということ。

日本ではアルコールが1%未満だと清涼飲料水ということになるので、ホッピーそのものはビアテイストの清涼飲料水ということになりますが、アルコールにあまり強くない方が飲むと体内のアルコール濃度が上がって酒気帯び運転になることもあります。

今日は運転だけど居酒屋ホッピーのソトだけ飲んでればOK!と思うのはダメですよ!
それから、お酒が飲めない方に「ホッピーはお酒じゃないから!」と飲ませるのもやめておきましょうね。


あれ?ちょっと待って!①があるなら②もあるのでは?

お酒好きの鋭い皆さんならお気づきかと思いますが、酒税法による分類で

・その他の醸造酒(発泡性)①
・リキュール(発泡性)①
のお話をしました。「その他の醸造酒(発泡性)①」があるなら「その他の醸造酒(発泡性)②」もありそうなものですが、②はほぼ存在しません。

同じくリキュール(発泡性)②もほぼありません。
正確には、定義としてはあるけど商品として存在しないということになります。

その他の醸造酒(発泡性)①の場合、

糖類、ホップ、水、大豆たんぱく、大豆ペプチド、絡める、エンドウたんぱく、水溶性食物繊維、コーンたんぱく分解物、コーン、醸造アルコール、食物繊維、香味料、クエン酸カリウム

以外を使用すると「その他の醸造酒(発泡性)②」となるのですが、②になったら税金がビールと同じになってしまうのです。

リキュール(発泡性)②は「発泡酒にスピリッツを加えたもの以外」なのですが、こちらもビールと同じ酒税がかかります。

分類としてはビールじゃないから「ビール」と表記することができないのに、税金だけはビールなみに取られてしまうとなると、メーカーとしては製造する意味が無いということになります。

じゃあどうして存在するの?というお話になりますが、輸入ビールも含めて考えると可能性がゼロではないからといったところでしょうか。

酒税法は、お酒を税金によって分類するという考え方なので、よくわからない部分もあるのが正直なところです。


歴史ある正式なビールなのに発泡酒?

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輸入ビールの中には、その土地では昔から愛されている「ビール」なのに、日本では酒税法の関係上発泡酒になってしまうものもあります。

ホワイトエールのヒューガルデンホワイトもそのひとつ。

日本でも愛飲者が多く人気ナンバーワンのベルギービールなのですが、分類としては「発泡酒」になります。

その理由は、材料にコリアンダーシード、オレンジピールが使われているから。日本では、ビールに認められていない原料が使われているとビールと表記することはできないのです。

ヒューガルデン醸造所があるヒューガルデン村では1318年からビールが作られていて、15世紀にはホワイトビール醸造が始まっていたのに、日本に来たとたん表記的には発泡酒となるのがなんとも不思議です。

こういったベルギービールは発泡酒と表示されていても税率はビールと同じなのです。

発泡酒は、節税ビールとも呼ばれていますが、税金面を考慮して消費者の買いやすさ重視に作られている発泡酒と、ヒューガルデンホワイトのような製品は全く質が違うものなので、ビール好きな方にこそ全ての発泡酒が節税ビールではないことを覚えておいていただきたいと願っています。

Juneやよい

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