マイセルズ・ヴァイス(Maisel’s Weisse)の口コミ・評価

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マイセルズ・ヴァイス(Maisel’s Weisse)の口コミ・評価

赤く深い琥珀色が美しい!バイエルンのヴァイツェンビア、マイセルズ・ヴァイス(Maisel’s Weisse)をご紹介します。

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マイセルズ・ヴァイス(Maisel’s Weisse)の基本情報

銘柄(商品名):マイセルズ・ヴァイス
醸造所名:ブラウエライ・ゲブリューダー・マイセル合資会社(Brauerei Gebr. Maisel KG)
原産国:ドイツ
アルコール度数:5.2%
原材料:水、小麦麦芽、大麦麦芽、ホップ、ホップ抽出物
ビールスタイル:ヴァイツェンビア
内容量:500ml
カロリー:記載なし
参考価格:1.03ユーロ(日本円で116円程度)

マイセルズ・ヴァイスの味や風味

<外観>
マイセルズ・ヴァイスの外観

ボトル裏面のラベルを見ると「赤く輝く琥珀色」と書かれています。
赤く輝く琥珀色マイセルズ・ヴァイス

たしかに、ボトルの色にも負けない深く赤い琥珀色です。光に透かすとより一層際立って美しい。泡も同様、やや琥珀色に色づいています。ヴァイツェンビアなので泡立ちがよく、何度かに分けて注ぎます。ヴァイツェンの注ぎ方についてはこんな感じです。

詳しく知りたい方はこちらもご参照ください。
ドイツのお土産!おすすめビール ベスト5
-ドイツ土産ビールその1「フランチスカナー ヘーフェヴァイスビア」
-ヴァイツェングラスと注ぎ方

<飲む前の香り>
クローブのようなスパイシーなハーブの香りと熟したての果物のような甘い香りがします。ヴァイツェンビアのわりにはバナナ香は弱く、ホップの香りがしっかりするのが特徴です。

<飲んだ時の香り>
飲むとよりいっそうスパイシーなハーブ香が際立ちます。飲む下すとほんのりと甘い香りが尾を引いて、一口で満足度が高く感じます。

<マイセルズ・ヴァイスの味>
ヴァイツェンビアと聞くと、甘いバナナ香とパンのような小麦の甘みを思い出される方が多いと思いますが、マイセルズ・ヴァイスは甘さは控えめ。最初は舌にピリッとホップの苦味を感じます。その後、ヴァイツェンビア特有のどっしりとしたコクのある味わいが来て、飲み込むと口の中に甘さとハーブ香が残るのでゆっくり飲むのにうってつけ。

ヴァイツェンビアが苦手かもという人は、マイセルズ・ヴァイスを飲むとイメージが変わると思います。日本ではヴァイツェンというとフランチスカナー・ヘーフェ・ヴァイスのイメージが強いと思いますが、意外とマイセルズ・ヴァイスのような甘さ控えめでスパイシーなヴァイツェンビアも多いです。

炭酸はヴァイツェンとしてはやや強め、ピルスナーに比べれば弱めという感じ。アルコール度数は5.3パーセントでヴァイツェンとしては標準的です。

<マイセルズ・ヴァイスの飲みやすさ>
けっこうスパイシーな香りと味わいなので、慣れない人には少し飲みにくいかもしれません。特に日本人にとっては「甘く飲みごたえのあるヴァイツェンを飲みたい!」というときにはやや甘みが物足りなく、ピルスナーと比べるともったりとしていて喉越しがよくないという感じでしょうか。慣れてくるとこのスパイシーな香りや味わいがクセになってくるんですけどね。

<マイセルズ・ヴァイスに合いそうな料理>
断然、肉料理です。こってりとした角煮や牛すじなんかもいいですね。スペアリブやステーキにも負けない強さがあります。ミュンヘンビールなのでプレッツェルとも相性抜群。ただしおつまみ用の小さなものではなく、両手のひらサイズの大きなパンのようなプレッツェルがオススメです。

<総合評価>
★★★★☆(星4つ)

マイセルズ・ヴァイスのレビュー

マイセルズ・ヴァイスのレビュー

マイセルズ・ヴァイスの特徴はなんといっても深みを感じさせる赤い琥珀色。たしかにヴァイツェンビアはピルスナーに比べてやや深い小麦色をしていますが、ここまで赤く深い琥珀色はとても珍しい。どうしてこんな色になるのかなと公式ホームページなどを調べてみたのですが、はっきりとした理由は書いていませんでした。ま、そりゃそうですね。企業秘密がそうそう分かるはずもありません。

ヒントになりそうなのは「ヴァイツェンビアがピルスナーに比べて深い小麦色をしている」という点です。この大きな理由は「水」にあります。

ドイツ・ミュンヘンではピルスナーが「作れない」?

「ビールといえばドイツ」と言われますが、中でもバイエルン公国、現在のバイエルン州に相当する地方はとてもビール造りに熱心でした。「ビールは大麦、ホップ、水のみを原料とする」という有名なビール純粋令を発布したヴィルヘルム4世もバイエルン公国の王様です。

このころ作られていた主なビールは常温でも醸造が可能な上面発酵ビールでした。いまでいう黒ビールに近く、ホップの香りは弱くて甘みが強かったと考えられています。

一方、新しい発見もありました。それが下面発酵ビールです。低温で醸造することでホップの香りを生かし、爽やかな苦みで喉越しがずいぶん良くなったのだと言われています。この下面発酵による醸造法を発見したのもバイエルン地方と考えられていて、「ビールといえばドイツ、それもバイエルン地方」というのも、さもありなんという感じです。

しかし、現在世界中で好まれているピルスナーが生まれたのは、意外にもドイツではなく、チェコのピルゼンという街でした。「ピルスナー」という名前もピルゼンという街の名前に由来しています。

実はこのピルスナーが生まれたのは偶然の産物。バイエルン風の下面発酵ビールを作ろうとミュンヘンから技術者を招き、同じように醸造したのにまったく違うビールが出来てしまったのです。淡く輝くような黄金色に華やかなホップの香り、そしてすっきりとした喉越し。ほぼ現在のピルスナーと同じビールが誕生しました。

当時のバイエルン風下面発酵ビールは黒ビールとは言わないまでもかなり暗いブラウンで、ピルスナーに比べればホップの香りが弱く、甘い口当たりだったと考えられていますので(デュッセルドルフのアルトビアが近いとされています)、差は歴然だったと思われます。

なぜピルスナーが生まれたかというと、これも「水」が原因だと考えられています。バイエルン地方の水はかなりの硬水で、現在のミュンヘンの水道水で297mg/L(※ミュンヘン水道局HPより)。日本の水は軟水で、東京の水道水だと50~100mg/Lぐらいだそうですから、かなり差があることが分かりますね。

そしてチェコ・ピルゼンの水は硬度の低い軟水。このため、バイエルン風に醸造したにもかかわらず、まったく違うビールが出来てしまったのでしょう。逆に言えば、同じ製法で醸造していてもバイエルン地方ではピルスナーは「作れない」というわけです。

その後、バイエルン地方でも改良を重ね、オリジナルの淡色ビール「ヘレス」の開発に成功します。「Helles(ヘレス)」とはドイツ語で「明るい、淡い、澄んだ」というような意味。醸造所によっては「Hell(ヘル)」ということもありますが意味は同じです。

たしかに、デュッセルドルフのアルトビアなどに比べると明るく、淡い色をしているのですが、やはりピルスナーに比べるとやや色が濃く、ホップの香りは弱め。その分、麦芽の香りや味わいはしっかりと感じられます。

水一つでこんなにもビールが変わるのだなぁと感慨深いです。

ミュンヘン水道局HP

「我が道を行く」 マイセルズ・ヴァイス

さて、マイセルズ・ヴァイスに話を戻しましょう。

マイセルズ・ヴァイスはバイエルン州にあるバイロイトという街で作られています。ミュンヘンと同じバイエルン州に属してはいるのですが、地図を見るとかなり遠い。州境に近く、少し東に行けばチェコがあります。

ビールの名前は地名にちなむことが多いのですが、マイセルズ・ヴァイスは創業者のマイセル兄弟に由来した名前です(社名の「ゲブリューダー・マイセル」はドイツ語で「マイセル兄弟商会」という意味)。現在で4代目ということですが、創業以来のレシピと製法を守り続けているとのこと。
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水、小麦と大麦、ホップ、自家製酵母。ビールを作る素材へのこだわりもとても強く、それがヘキサグラム(六芒星)を象ったロゴにも表れていると言います。公式ホームページには「ビールにおける六芒星の関係は錬金術にまで遡る」とあり、どうやらロゴは水や火、空気と大地などの物質を表しているようです。マイセルズ・ヴァイスでは古来から続く四元素として、「重要な水、麦を育む大地、炉や窯の火、そしてビールの「魂」とも言える炭酸(空気)」の四つを上げています。なんだか話が壮大になってきましたね。

マイセルズ・ヴァイス公式ホームページ
「Spitzenqualitat aus Liebe zum Produkt(「製品への愛が逸品を生む」というような感じでしょうか)」

そんなマイセルズ・ヴァイスの哲学は「Mach’s auf Deine Weisse」。ドイツ語には「Macht es auf Deine Weise」(最後の「Weisse(ヴァイスビア)」の”s”が一つ少なく、「Weise」で「やり方」という意味)というフレーズがあり、意味は「自分のやり方で行いなさい」というもの。「自分で責任をもってやりなさい」とか「他人は気にせず、自分の思うとおりにやりなさい」とか、文脈によって意味は変わるのですが、おそらくこれを文字っているのでしょう。

「Mach’s auf Deine Weisse」だと、もうちょっと意訳して「あなたのヴァイスビアを貫きなさい」とか、さらに意訳すると「我が道を行け」というような意味になるのかなと思います。なににも惑わされず、オリジナリティを突き進めてきた精神がよく分かるスローガンです。

古来から連綿と続く製法とオリジナリティを尊ぶマイセルズ・ヴァイスは、ヴァイツェンビアの主流派であるミュンヘンから少し離れ、古くから続く濃色ビールの系譜を受け継ぎながら、土地の水を生かして他とは異なる赤く深い琥珀色のヴァイツェンビアを作り上げたのではないか。そんな風に思えてきました。

味も、がっつりと小麦の風味と甘みがあるミュンヘン風ヴァイツェンビアと違って、軽やかなホップの香りと苦味が味わえるのも面白い。

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こだわりと歴史が詰まったマイセルズ・ヴァイス。酵母無濾過のNaturtrüb(ナトューアトリューブ)で最後の一滴に旨味が詰まっているので、ぜひしっかりと瓶を逆さに向けて最後の一滴まで楽しんでみてくださいね。
kamatsu

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