ケストリッツァー・シュヴァルツビア(Köstritzer Schwarzbier)レビュー

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ケストリッツァー・シュヴァルツビア
黒い見た目に反してとっても飲みやすいビール!文豪ゲーテも愛したケストリッツァー・シュヴァルツビア(Köstritzer Schwarzbier)のレビューをご紹介します。

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ケストリッツァー・シュヴァルツビア(Köstritzer Schwarzbier)の基本情報

銘柄(商品名):ケストリッツァー・シュヴァルツビア
醸造所名:ケストリッツァー・シュヴァルツビア醸造所(Köstritzer Schwarzbier Brauerei)
原産国:ドイツ
アルコール度数:4.8%
原材料:水、大麦麦芽、ホップ、ホップ抽出物
ビールスタイル:シュヴァルツビア
内容量:500ml
カロリー:記載なし
参考価格:0.97ユーロ(日本円で115円程度)


ケストリッツァー・シュヴァルツビアの味や風味

<外観>
ケストリッツァー・シュヴァルツビアの外観

「シュヴァルツビア」(黒ビール)という名前ですが、色は真っ黒というよりもチョコレートブラウン。灯りにかざすと透き通って見えます。泡はシルキーでベージュ色。泡立ちはよいのですが、あっさりと消えてしまいます。

<飲む前の香り>
甘そうな見た目に反して、爽やかな青いホップの香りがします。ギネスなどの黒ビールとは少し異なりますね。甘い香りはほんのりととても上品です。

<飲んだ時の香り>
飲むとしっかりローストした大麦の香りがします。飲み込むと鼻にホップの香りが抜けていくのが爽やかです。

<ケストリッツァー・シュヴァルツビアの味>
黒ビールというと甘くて苦いというイメージがありますが、口当たりはかなりドライ。しっかり炭酸が感じられます。甘さは控えめ。しっかりローストした大麦はコクがあり、一口の満足度がとても高いです。

上品なビターチョコを思わせる風味は豊かでスパイシー。あっさりとはほど遠い味ですが、つまみなどなしに「ビールだけを楽しみたい」というときにはうってつけです。アルコール度数は標準の4.8パーセント。「黒ビールは苦手」という人にオススメの黒ビールです。

<ケストリッツァー・シュヴァルツビアの飲みやすさ>
甘さ控えめ、スパイシーなケストリッツァー・シュヴァルツビアは、黒ビールの中ではダントツの飲みやすさだと思います。しかし独特のスパイシーでコクのある風味が苦手だという人もいるでしょう。フルボディのしっかりしたピルスナーが好きだという人には好まれそうなビールです。やや人を選ぶので評価は星4つにしました。

<ケストリッツァー・シュヴァルツビアに合いそうな料理>
ケストリッツァー・シュヴァルツビアがかなり風味豊かなので、料理に合わせるというよりもビールだけで楽しむことが多いのですが、合わせるならば生ハムやチーズなどしっかりした濃い味の発酵食品がいいでしょう。黒オリーブなんかもいいですね。

<総合評価>
★★★★☆(星4つ)


ケストリッツァー・シュヴァルツビアのレビュー

ケストリッツァー・シュヴァルツビアのレビュー

ケストリッツァー・シュヴァルツビアはドイツ黒ビールの代名詞とも言えるほど、とても有名なビールです。シュヴァルツビアの「シュヴァルツ」は「黒」という意味。出荷量は年間40万ヘクトリットル以上。ちなみに、このサイトでもご紹介したビットブルガーで年間400万ヘクトリットルを出荷しています。

日本は大手5社合わせて537万キロリットル(キリンデータブック2015より)。キリン一社のビール出荷量はすべての銘柄を合わせて66万キロリットル。ヘクトになおすと660万ヘクトリットルになるそうです。なかなかいい勝負ですね。けれど、660万ヘクトリットルのうち、黒ビールの割合となるとかなり低いのではないでしょうか。ある資料によると日本の黒ビールは全体の出荷量に対して0.2パーセントなのだとか。少ない!

参考: “不毛地帯”の日本で、なぜ黒ビールが売れたのか

実際、ビール好きな人の中でも「黒ビールは苦手」という人も多く、販売量の低下から黒ビールの生産を中止してしまったメーカーもあります。

参考:「アサヒ黒生」生産終了 販売量落ち、20年の歴史に幕

実は私も黒ビールが苦手でした。くーっと喉越しを味わいたいのに、黒ビール特有の甘さで流し込めないんですよね。どうにも甘い。しかしどうやらこれは最初に飲んだ黒ビールのイメージだったようで、ケストリッツァー・シュヴァルツビアを飲んでからは「黒ビール、飲みやすい!」とすっかり開眼してしまいました。

*黒ビールは「上面発酵」と「下面発酵」でかなり味が変わる!

この違いは製法にあります。私が最初に飲んだ黒ビールはアイルランドのギネス・ビール。日本で最も手に入りやすい黒ビールといってもいいのではないでしょうか。このギネスは上面発酵ビールです。発酵中に酵母がふわふわと浮かんでくるため、「上面発酵」と呼ばれています。

15~25度と少し高めの温度で発酵させるので、ビールはフルーティな味わいに。香りも果実を熟したような華やかな香りです。さらにギネスはスタウトスタイルのビールで、ローストした大麦の苦みと酸味をプラス。あらゆる意味で濃厚な味わいのビールだと言えます。

濃厚な特長あるビールなだけにファンも多いのですが、苦手意識を持ってしまう人が多いのも事実。私はギネスだけではやや飲みにくいので、アイリッシュ・パブではハーフ&ハーフで飲んでいました。

一方、ケストリッツァー・シュヴァルツビアはというと、こちらは下面発酵ビール。発酵中に酵母が下に沈むため「下面発酵」と呼ばれます。歴史は上面発酵よりも新しく、15世紀後半ごろ、バイエルン地方で誕生したのではと言われています。10度前後という低めの温度で長期間発酵させなければならなかったため、昔は冬場にしか醸造することができなかったのだとか。

その名残がドイツのメルツェンビア(Märzenbier)です。4月から衛生上の問題によりビールの醸造が禁じられていたので、寒い3月(März)の間にできるだけビールを仕込んでおきます。それを次のビール醸造解禁日である10月までちびりちびりと飲んでいくわけです。ビールの祭り、オクトーバーフェストでは3月に仕込んだビールを飲み干してしまうので、オクトーバーフェストで飲むビールのことをメルツェンビアということもあります(ヴィーゼンやフェストビアということも)。

さて、下面発酵ビールの特長はというとなんといってもすっきりした喉越しとホップの爽やかな香りです。甘く濃厚な上面発酵のスタウトに比べてその差は歴然。またドイツのシュヴァルツビアは少量のブラックモルトで色付けを行うので、色も薄く味わいもあっさりとしています。

これがとてもいい!ピルスナーの喉越しとホップの爽やかさ、スタウトの甘く華やかな香りと濃厚な苦みを足して割ったような味わいで、まさにいいとこどり。ハーフ&ハーフでは弱くなってしまう焙煎香もしっかりと感じられるので、これまで「黒ビールが苦手」と飲まなかった人にこそオススメしたいビールです。
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ラベルの右下には大麦とホップのマークが。下面発酵の良さをいかんなく発揮していることを示しています。

*シュヴァルツビアとドゥンケルビアは同じ「黒ビール」?

シュヴァルツビアは「黒ビール」と書きましたが、ドイツには「ドゥンケルビア」というビールもあります。こちらも日本語に訳すと「黒ビール」。英語だと「シュヴァルツ」が「Black」、「ドゥンケル」が「Dark」なので少し違いますが、ビールとして違いはあるのか気になって調べてみました。

結論から言えば、どちらもだいたい同じ「黒ビール」で、北ドイツでは「シュヴァルツビア」、南ドイツでは「ドゥンケルビア」と呼ぶことが多いようです。南ドイツ、特にバイエルン地方では淡色ビールを「ピルスナー」とは呼ばず、「ヘレス(「明るい」という意味)」と呼んでいるので、対になる黒ビールを「ドゥンケル(暗い)」と呼ぶようになったのではないでしょうか。興味深い。


ケストリッツァー・シュヴァルツビア醸造所(ケストリッツァー・シュヴァルツビア・ブラウライ)について

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ケストリッツァー醸造所に関する最古の記述は1543年で、ドイツで最も古い醸造所の一つに数えられます。下面発酵がスタートしたのが15世紀後半ですから、下面発酵の黒ビールを作る醸造所としてはかなりの老舗と言えるでしょう。

1558年、ドイツ・イエナ大学の創立に伴って、最初の「ケストリッツァー・シュヴァルツビア・ブーム」が巻き起こります。公式サイトによると「スマートな人々が特に愛したビール」なのだとか。サイトには当時の様子を記したらしい絵が載っているのですが、うーん、どう見ても居酒屋で浮かれて飲んでる大学生にしか見えません。スマートさ(賢さ)はいったいどこに……。まあ、いつの時代も同じですね。

公式サイトより

その後、フランツ2世やドイツ宰相オットー・ビスマルクなど多くの権力者に愛されたケストリッツァーは広くドイツ国内に市場を広げていきます。

ドイツの文豪として名高いヨハン・ヴォルフガング・ゲーテもケストリッツァー・シュヴァルツビアを愛した一人。病に倒れ、食事が口にできないときには、ケストリッツァー・シュヴァルツビアを食事代わりにしていたのだそうです。

ドイツではこういう「食事ができないときにビールを食事代わりにしていた」という逸話がよくあります。ビールは大麦や小麦から作られ、ビタミンやカルシウムも豊富なので、ある種「健康食」というイメージがあるようですね。いまもアルコールフリー・ビールのCMで「妊婦さんでも手軽に栄養とビタミンが取れる!」と言ってたりします。面白い。

さて、一見順調そうに見えるケストリッツァー・シュヴァルツビア醸造所なのですが、ケストリッツァーがあるバード・ケストリッツ(当時はケストリッツ)は東ドイツにあったため、戦後、輸出に大幅な制限が課されてしまいました。数少ない輸出が認められた会社ではあったのですが、いったん西ドイツへ「輸出」し、そこから東ヨーロッパへ輸出するという手段を取らなければならなかったそうです。

ドイツ統一後の1991年、経営の見直しとさらなる市場拡大のため、ビットブルガー・グループに参入。市場を世界へと広げました。いまも精力的に拡大を続け、出荷国は60か国近くに上ります。黒ビールだけではなく、飲みやすいレッド・ラガーやピルスナーなど新商品開発にも余念がありません。

いずれは、日本でも手軽にケストリッツァー・シュヴァルツビアが手に入る日が来るかもしれませんね。もし店頭で見かけたら、黒ビールの固定概念を捨てて、ぜひ一度試してみてください。「こんな黒ビールもあるんだ!」と驚くこと間違いなしです。

kamatsu

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