浅草ビアホール「D’sdiner(ディーズダイナー)」レポ
大小様々な飲食店が軒を連ねる浅草中心部。
海外からの観光客に人気の「雷門」で有名な「浅草寺」の周辺には、雰囲気の良いビアバーが沢山あります。
今回は中でも仲見世通り周辺の知る人ぞ知る名店「浅草ビアホール D’s diner」にお邪魔しました。
まず周辺の地理ですが、流石は浅草。この一帯は古くからある名店がひしめき合う仲見世通りの裏路地だけあって、かなり鄙(ひな)びた~というよりも、ほど良く古めかしくて、どことなく懐かしい雰囲気の商店街が広がっていました。
歴史と文化の匂いを充分に感じる事ができる立地は観光はもちろんお散歩コースとしてもピッタリなので、距離的には都営地下鉄の浅草駅からの方が近いのですが、敢えてつくばエクスプレス駅を利用してのんびりと散策を楽しみながら行ってみるのも良いでしょう。
ちなみに地下鉄浅草駅からのD’sdiner(ディーズダイナー)までの所要時間は約5分ほど。
つくばエクスプレス浅草駅からの所要時間は10分ほどでしょうか。
雷門を見ながら行くか、浅草演芸ホールのある六区通りを眺めながら行くのか、その辺りはお好みでも良いかもしれません。
さて、浅草寺近辺というと特徴的な天井オブジェで知られる「アサヒスーパードライホール」を始め、明治時代から続く老舗中の老舗「神谷バー」、更には観光客に絶大な人気を誇る飲み屋街「煮込み通り(旧・ホッピー通り)」などが立ち並ぶ「お酒飲みの聖地」と言っても過言ではない激戦区としても知られていますが、その中でも今回訪れる「浅草ビアホール D’s diner」は比較的新しめの店です。
ただし外観はものすごく古風なので、初めて目にする方は少々驚くかもしれません。
なんとなく敷居が高そうに感じられますが、窓から覗くと店内はほどよい和モダンな雰囲気。開放感のあるオープンスタイルで、座席数は40~50席程でした。
カウンターには世界各国のビールタワーが並んでいると事前に聞いていたのですが、その様子も外から確認可能です。
オープンとほぼ同時に突撃したのでしばらくは落ち着いた雰囲気で食事する事になるかな……と思っていたのですが、最初の飲み物が到着する頃には常連さんらしきお客さんがちらほらと席を埋めはじめてビックリです。
なんせ、平日のオープンは16時なのですから。
流石浅草。下町っ子は昼間っから飲みます!
私が通された席は一番奥の二人がけテーブル。荷物置き用のカゴは完備でした。
他にも四人席やそれ以上の大テーブルもありましたので、大人同士の密談からコンパまで、幅広い用途でお酒が楽しめそうです。
なお、売りの一つであるビールタワーが置かれたカウンターはオブジェの様。椅子は無かったです。満席の時にもたぶんテーブルに案内されるので、ぼっち飲みするつもりならちょっと時間を考えた方が妙なプレッシャーを受けずに済むやもしれません。
こちらがドリンクメニューです。
なんとこれら全てがビール! ピルスナーからスタウトまでなんでもござれですが、麦汁という意味ではもちろんこれら全てがビールです。
各国代表! という煽り文句に相応しく、ドイツやベルギーなどの有名産地はもちろん、チェコやフランス、オーストリアやデンマークまで……。他ではなかなかお目にかかれない豊富過ぎるラインナップに夢が広がりますね!
これだけあると目移りして逆に困る……という方は、赤文字に注目しましょう。店長オススメで赤地にしてあるビールはどれも初心者にうってつけの、ハズレのない布陣になっています!
しかし改めて見るとこのベルギービールのラインナップは素晴らしいですね。
メジャーどころから名前を聞いたことすらないものまで、痒い所にバッチリ手が届く感じでした。
中には私自身ちょいちょいと通販で買っては冷蔵庫に大切に保管したまま、勿体無くて飲めなくなりコレクションと化してるビールの名前もあって、「こんな簡単に飲める場所があったのか!」と衝撃を受けました。
さて、どれにしたものか……。
友人と二人でああでもないこうでもないと悩む事3分。
結局店長のオススメに従う事に。
まずは猛暑の中の散歩で乾いた喉を癒やすために、
1杯目のビールは「クーパーズスパークリングエール」
オーストラリア代表、クーパーズスパークリングエールを注文しました。
実はエールは風味が苦手でそんなに飲まないのですが、あっさり軽めで飲みやすい……、というオススメの文句に一本釣りされた感じです。
注文した理由としては他にも「折角来たんだから、普段あまり手を出さないものを飲もう!」という気持ちが働いた事もありますが、結果としてこれが大当たり!
飲んでみた感想は「ビックリするほど飲みやすい!」というものでした。
後味も爽やかでエール特有の後に残る感じが全くなくて凄く美味しかったです。
ラガーは喉で。エールは舌で味わうビールだ、という固定観念が自分の中にあるのですが、その常識を気持よく裏切ってくれて爽快な気分になりました。
D’sdiner(ディーズダイナー)は全席喫煙可能
ちなみにこちらのお店、グラスがバッチリ凍っててとても良かったです。
それを売りにしているお店ですら、オープン直後に行くと、凍って無かったりしてちょっとガッカリする事があるのですが、さすがは激戦区の新進気鋭。ぬかりはありません。
なお、座席は全席「喫煙可能」でした。
喫煙者である私としては非常にありがたかったです。
キンキンに冷えたグラスとタバコの煙。
窓から差し込む西日と蝉の声。
昼間っから飲むアルコールが最高に旨いというのもありますが、それらが渾然一体となって、クーパーズの美味しさを二重にも三重にも加点してたのかもしれません。
2杯目のビールは「ドシャス・デ・ブルゴーニュ」
二本目のビールは定番。ベルギー代表、ドシャス・デ・ブルゴーニュです。
見たとおり「赤いビール」でどことなくスパークリングワインを思わせますが、実際味もワインに近いです。
一応分類はビールなので麦を使ってるはずなのですが、なにがどうなってこの風味になっているのかが未だにわかりません。
分からないながらも気の利いたビアバーで見かける度に注文していますが、今回メニューに「オーク樽」という単語があって初めて「なるほど」と膝を打つ感じになりました。
この風味はオーク樽の香りの模様です。
もちろんですがドシャスも店長のオススメらしく赤文字選手でした。
立て続けに二種類のお酒を飲んだところで、お次はいよいよおつまみタイムへ突入。
おつまみ「エビのアヒージョ」
となりのお客さんが食べていた「タコのアヒージョ」がやたらと美味しそうだったので真似してみました。ただしタコじゃなくてエビです。
ぐつぐつと煮えたぎるガーリックオイルの香りが食欲をそそります!
バケット付きでお値段は1,000円。少し高いかな、最初思ったのですが、量がそれなりにあって結果的に大満足でした。
なお、お味の方もアンチョビの香りが強めで決して日本風にアレンジされたものではなく、本場に近い感じがしました。
まあ本場といっても私はアヒージョがどこの料理かも知りませんが、きっと現地で生まれ育った人にこれを食べさせてもそんなに違和感ないと思います。
というか、アンチョビとビールってホントに合いますね。
グイグイ進みます。
エビを食べ終えたら残ったスープを掬ってバケットにブチかけ、即席のガーリックトーストに。
めちゃめちゃ旨いです。
浅草ディーズダイナーの目玉メニュー「超特大メガフランク」
次に到着したのはD’sdiner(ディーズダイナー)の目玉メニューのひとつ「超特大メガフランク」。
超特大というからには恵方巻きくらいのサイズのが来るかと思いきや、太さよりもむしろ長さが目立つ造形をしていました。
写真でみると伝わり辛いですが、此方はかなりじっくりと火が通されていて、月並みな表現ですが「外はパリパリで中はジューシー」を地でゆく感じというか、それ以外の表現が無いほどの「上質なフランク感」でした。
お肉の味わいの中にも微かにハーブの香りがして、こちらもホントにビールに合いました!
そして懸案の「超特大」という語句についてなのですが、確かに量は多かったです。
メニューには「1本で3~5人前」と書いてありましたが、実際2人で食べるとちょっと多いくらいの量があったので、ガッツリ食べながら飲みたい方にオススメのメニューですね。
さて、この辺りで時刻はようやく五時過ぎ。
店内もかなりお客さんの数が増えてきて賑やかになってきました。
私が座っていたのはカウンターを左手に見る壁際の席だったのですが、中央付近にならぶ四人がけの席も徐々に埋まり始めていた感じです。
浅草D’sdiner(ディーズダイナー)の客層は浅草らしく、年齢層が少し高めの模様。
ただしこの後はカップルなどの姿もチラホラ見える感じでした。
当方は男二人で浅草D’sdiner(ディーズダイナー)に来ましたが、おしゃれな雰囲気のお店ですしメニューがかなり豊富で面白いので、お酒が好きな女性を連れて来るのも話題が尽きずに良いかもしれませんね。
ヴァイツェン酵母で作ったビール「雷電」
次のビールは、ヴァイツェン酵母で作ったビール「雷電」です。
ヴァイツェン酵母ビールは初めて飲みましたが、かなりコクがあってビールらしいビールというか、要するに、ビールファンには最高の一本だと思います。
あと、ラベルが凄い格好いいですね!
世界各国のビール! というからには当然このように日本のビールのラインナップも用意されているわけで、アサヒスーパードライホールから目と鼻の先の距離にもかかわらず、この日プッシュされていたのはなんと「三重」と「長野」のクラフトビールでした。
伊勢角屋ペールエール
その後、世界各国のビールをお供に空想世界旅行を思う様楽しんだのち、最初に飲んだエールの美味しさを再確認する意味でもう一本。
伊勢角屋のペールエールです。
お店の人に「国産の美味しいエールください」と言ったらこれが出てきました。
伊勢というからには三重県の地ビールのはずです。
メニューの説明によると「初めてクラフトビールを飲む人がこれを飲んだら、クラフトは美味しくないという人はいなくなる」と専門家に言われたことで有名になったとか。
クラフトビールというのは簡単に言ってしまうと「地ビール」の事ですが、たしかに地ビールって苦かったり尖った味わいだったり独特のエグみがあったりするイメージがあります。
それは私が最初に飲んだ地ビール(九州の某観光地で飲みました)がやたら苦かった事に由来するのですが、そう考えると三つ子の魂百まで、という言葉は言い得て妙というか、最初に飲む地ビールが美味しかったら、確かに地ビールの地位向上やイメージアップにもつながるはず!
伊勢角屋ペールエールはそんな「地ビール業界の期待」を一身に背負っているホープ。超新星です。専門家が言うからには間違いない! これはビールファンとしては試しておかなければ!
で、飲んでみた感想ですが、これ本当に凄くフルーティでめちゃめちゃ美味しかったです。
今までのエールの印象を覆すというか、高級感すら漂う深い味わいというか。なんかちょっとエールを下に見ていた事を謝りたい気分にすらなりました。
あと、クラフトビールもです。地ビールって野球で言うとマイナー・リーグのイメージがどうしても自分の中にあったのですが、これはホントに全国のコンビニとかで売って欲しい所存。本当に美味しかったです。また飲みたい……。
美味しいお酒と美味しい料理。
ふらりと浅草散歩のついでに立ち寄ったつもりが、気付いたら大満腹で超満足の一日と相成りました。
会計は男二人で8000円ほど。
食べ物2種類とお酒8本。わりとガッツリ食べてガッツリ飲んでこれなので、デートで使うならもうちょっと安く上がりそうです。
あと、浅草D’sdiner(ディーズダイナー)の店の雰囲気をお伝えする上で象徴的なエピソードがひとつありました。
最初に頼んだエビのアヒージョですが、実は別の席で別のメニューを頼んだお客さんの所に、先に料理が届きました。
別のメニューなのだから順番が前後するのは当然なので全く気にしてなかったのですが、後からスタッフさんがわざわざ謝りに来て下さいまして、ナッツをサービスしてくれました。
それは取りも直さず私達が「開店後一発目に入店したお客」であって「オープンを心待ちにしていたお客である」とお店の方がしっかり覚えてくださっていた事に他ならず、だからこそのサービスだったと思いますが、こういう気遣いって有名なお店になるとなかなか感じる事ができないものなので、とても嬉しかったです。
浅草は「人情の街」と言われる事もありますが、浅草ビアホール「D’sdiner(ディーズダイナー)」は、まさしくそんな浅草に相応しい、洒脱で人情味のある、素敵なお店でした。
浅草ビアホール「D’sdiner(ディーズダイナー)」お店情報
URL:http://www.e-daimasu.com/beer/
住所:東京都台東区浅草1-15-6
<営業時間>
16:00-23:30(平日)
12:00-23:30(土日祝)
定休日:月曜日(祝日にあたる際は翌日)
<アクセス>
つくばエクスプレス浅草駅から徒歩3分
東京メトロ銀座線浅草駅・都営地下鉄浅草駅から徒歩4分