三重県オーガニック地ビール「上馬ビール ヘレス」レビュー
細川酒造株式会社さんは、清酒とビールを作っている酒蔵・ブルワリーです。
小さい醸造所ながら堅実な手仕事で作るクラフトビールにおどろかされました。
上馬(あげうま)ビール「ヘレス」には、質の良いお酒を作ることだけにこだわっている醸造所の心意気が詰まっています。
細川酒造 上馬ビール「ヘレス」の基本情報
醸造所名:細川酒造株式会社
原産国:日本 三重県桑名市
アルコール度数:5.0%
原材料:有機無農薬麦芽・有機ホップ
ビールスタイル:ヘレス
内容量:330ml
カロリー:記載なし
参考価格:460円
細川酒造株式会社 「上馬ビールヘレス」の味や香り
<外観>
ほんの少し濃いめの小麦色。
泡もほんのり小麦色です。
飲み終わるまで泡が底からシュワシュワと立ち上っていました。
<飲む前の香り>
ホップの香りは穏やかで、モルトの香ばしさを感じます。
香り自体はそこまで強くないのですが、広がりがありいつまでも香っています。
<飲んだ時の香り>
ホップの香りの中にモルトの甘いカラメルのような香ばしさを感じます。
<上馬ビール ヘレスの味>
重たいというほどではないのですが、どっしりとした飲みごたえ。
正統派ヘレスという味わいで、麦芽をしっかり感じることができます。
<上馬ビール ヘレスの飲みやすさ>
しっかりとした麦芽の風味がありますが、苦味も炭酸も強くなく口で味わうだけでなく喉でも楽しむことができます。ビール本来の風味がしっかりとあります。
ビールらしさをしっかり感じられるという意味では飲みやすくはありませんが、最後のひとくちまで味わえるビールです。
<上馬ビールヘレスに合いそうな料理>
上馬ビール「ヘレス」に合いそうなおつまみは、筑前煮、肉じゃがなどの煮物、ローストビーフなどのしっかりしたお肉料理が良さそうです。
濃い味付けに負けない強さがあるので、あまり食事内容を選ばないと思います。
★★★★☆
細川酒造株式会社 「上馬ビールヘレス」のレビュー
上馬ビールヘレスはおいしさが深いというか、熟成させたビールのおいしさが瓶の中にそのままギュッと詰まっている感じです。
麦酒と書いてビールとも読みますが、まさに麦のお酒。麦の風味が濃くしっかりと感じることができます。
しかしモルティなビールか?と聞かれれば少し違うような気がします。
ヘレス・スタイルは麦芽の風味がわかりやすいのですが、上馬ビールはヘレスだから麦感が強いのではなく、原料の麦が有機栽培のため、麦が持っているもともとの風味が濃いのです。
この有機栽培麦芽と麦芽を感じやすいヘレスというスタイルはかなり合っています。
水がおいしいからでしょうか、ビールらしい苦味はありますが、雑味やエグみなどが全くなくスッキリしているので、食事なしでビールそのものを味わいたくなります。
麦をしっかり感じつつも、日本人好みの喉ごしもあるのでお好きな方は多いと思います。
1本460円と少々割高ですが、ヘレスとデュンケルの2本で720円のお試しセットもあります。目新しさはありませんが、飲みなれた味をさらに深くおいしくした感じなので、ビールが大好きなお父さんへのプレゼントや、ちょっと良いビールが飲みたいときなどに良さそうです。
上馬ビールは要冷蔵で、冬場以外はクール瓶で届きます。
その理由は酵母をろ過していないから。生酵母入りなのだそうです。
自宅での保管も冷蔵庫が推奨されていますので、購入前に冷蔵庫にスペースを作っておきましょう!
上馬ビールヘレスの原料はオーガニックビール
上馬ビール・ヘレスの麦芽は BCS OKO-GARANTIE が認定する有機無農薬、ホップはABCert認定です。どちらもドイツからの輸入です。特にBCS OKO-GARANTIEは国際的なオーガニック認定機関で、世界的な信頼を得ています。
ビールの風味には素材そのものの風味が大きく影響します。
オーガニックの原材料から作られるビールには安心感もありますが、有機栽培だからこそ生まれる素材の味は、上馬ビールの風味を決定付けています。
使用している水は養老山系の自然水。
地層でろ過され適度にミネラルを含んだ水は、材料が持つ本当のおいしさを損ないません。
わたしは、上馬ビールヘレスをなんとなく濃いビールだと感じました。
味が濃いというよりも、素材の風味が強いという感じです。うまみがすごいんです。
有機野菜を食べたときに、いつものお野菜よりも味が濃いと感じることはありませんか?
まさにあの感じです!ビール本来のおいしさが口の中いっぱいに溢れてきますよ!
上馬ビールは正に手仕事で作られている!
上馬ビールを製造している細川酒造さんの従業員は、なんと5名なのだそうです。
ビール造りはもちろん、ボトリング、ラベル張りなどの作業は従業員総出で行うそうですよ!
クラフトビールブルワリーの中には積極的に世界のコンペに出品して、知名度をメキメキ上げている製品もありますが、上馬ビールはほぼ口コミで広まっているビールです。
お酒はひとくちでわかるほど単純な飲み物ではないので、コンペでジャッジされるのではなくお酒が好きな愛飲家さんに楽しんでもらいたいというのが細川酒造さんの心です。
細川酒造さんのすごいところが、こういうことをただ公言するだけでなく、全ての製品において原材料は無添加、手造りを徹底しているところ。
有機ホップ、有機無農薬麦芽を使用することは100年前のビール造りだったら当然なはず、だから農薬を使わずに育てたホップと麦芽を使うことは全く特別なことではなく当たり前というのが上馬ビールの考え方なのです。
上馬ビールは質実剛健なビール
上馬ビールヘレスは、オーガニックだからスゴイ!新しい!というミーハーなノリではなく、グラスに注がれた1杯をしみじみと味わいたくなるようなビールです。
わたしの手元にあるビールの教科書的な本には、日本各地のクラフトビールが都道府県ごとに紹介されていますが、上馬ビールの記載はありません。
派手なことを嫌う細川酒造さんはコマーシャルやマスコミを使った広報などを一切行ったことが無いのだそうです。
わたしも本当に偶然に知って取り寄せてみたのですが、観光地などにガイド本に載っていない隠れた名店があるように、上馬ビールも隠れた逸品でした。
酒造りのプロたちがドイツビールの製法を忠実に守り、そこに日本人ならではのきめ細かさや手仕事の手間をいとわない気質をプラスして作られる上馬ビールは質実剛健。
わたしたちがつい疎かにしてしまう「手間をかける、時間をかける」ということの大切さを改めてわからせてくれるビールです。
0度の低温で半年以上かけられて作る上馬ビール ヘレスは、飲み手が年齢を重ねるごとに本当の良さが見えてくるのかもしれません。あえて派手さは出さない、ビール本来のおいしさを持つ堅実なビール、それが上馬ビールヘレスの良さです。
ちょっと「毎日がんばってお仕事する日本のお父さん」に通じるものがありますね!